一瞬。
何が起きたのか分からなかった。
私の周りから、
全ての音が、消えた。
何も、見えない。
何も、聞こえない。
何も、
何も。
あたたかい。
手を、見つめる。
何かで、ぬれている。
鮮やかな、赤い・・・。
とたん。
全ての音が
一度に押し寄せて。
そうして、私はようやく。
自分が死ぬことを
理解した。
死ねないだろうと、思っていたのに。
ようやく死ぬことが出来た。
それなのに。
うれしさがかけらも沸いてこない。
怖い。
ただ死ぬことが、怖い。
声が、出ない。
視界がかすんでいく。
頬を伝うこの液体は、
なんだろう。
きっとそれは、
当に渇いてしまっていたはずの、
私の、涙。