webMond

text

いつでも、すぐには気づけない。
失って、初めて気づく。
それが、どれだけ大切だったか。
失うたびに、もう失うまいと、
そう思っているのに。
決して失いたくないと思っても、
いつもその大切さには気づけずに。

いとしかった。
ただただ、いとしかった。
もう二度と、失いたくないと思った。
…たとえ、どんなことをしても。

君は今も、そばにいる。
いとしさには変わりなく、
君の美しさには衰えがない。
それでも、何故だろう。
君がそばにいるのになんで
こんなにかわいているのだろう。
なんで、こんなにむなしいんだろう。

君にそっと口付ける。
君からの反応は返ってこない。
君の瞳にはもう光は宿っていないから。

ようやく、気づいた。
ただ「君」じゃ、駄目なんだ。
生きている君でなけりゃ。
…笑っている、いつもの君でなけりゃ。

雨が降る。
しとしと、しとしと。
全てが洗い流されれば良いのに。
全て、やり直せれば良いのに。
今度こそ、間違いたくないと、そう思っても、
もう君はいない。
自分で奪ってしまったから。

雨は、降る。
しとしと、しとしと。
いつまでも、
いつまでも…。